第1章 * 告白の罠

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私は文也を、恋愛感情として 好きではない。 いや、恋愛対象として 見た事がない気がする。 だから、返事はノーしかない。 だけど私に、 この人生初の本気の告白を、 断る勇気なんてない。 「・・・少し、考えさせて。」 …うつむきながら言った。 だから文也の表情は 分からない。 「・・・・・え?」 代わりに、気の抜けたような 声が聞こえた。 「あ…やっぱり、すぐ 返事した方が良いの…?」 「いやだって、断られるとしか思ってなかったから…」 その言葉につい顔を 上げてみると、 文也はうっすら 頬を赤く染めていた。 …別に、OKした訳でも ないのに。 こっちまで 照れてしまうじゃん…! 「と、とにかく帰ろうよ!」 「あぁ。ちゃんと 考えておいてくれよ?」 「・・・うん。」 文也は嬉しそうな口調と表情で私の一歩前を歩き出す。 その距離に 違和感を感じながら、 私も玄関へと歩き出した。  
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