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ついた玄関の先には、
靴を履いて私を待っている
幼なじみの姿。
私に気付いた彼は、
軽く笑顔を向けてくれた。
「世鈴(せりん)、
今日は早かったな。
また告白だったんだろ?」
「うん、珍しく相手が
しつこくなかったんだ。」
「ふーん・・・。」
――いつも『先に帰ってていいよ』って言うのに、文也(ふみや)は必ず待っていてくれる。
幼なじみで家が近いからか、
自然と一緒に登下校するのが日課になっている。
そのせいでよく付き合っているのかと間違われるんだけど、文也は気にしないらしい。
この前、好きな子がいるって教えてくれたのに、いいのかな・・・。
「・・・はぁ。」
ふいにため息をついた私に、
文也は目を向ける。
つい、出てしまったため息に苦笑いしながら、私は言葉で繋げた。
「私も恋、してみたいな・・・」
「・・・・・・」
珍しく文也が沈黙した。
呆れるのも面倒なのかな。
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