第1章 * 告白の罠

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 * * * * * * 「じゃあ、また明日ね。」 ――バイト先のコンビニの前で足を止めて、世鈴は俺に笑顔で手を振った。 「あぁ、バイト頑張れよ。 また明日。」 そう言って 手を振り返すと、世鈴は明るく頷いてコンビニの中へ入っていった。  世鈴とは幼なじみで 一緒にいる事が多いが、 そのせいで世鈴にとって俺は ただの幼なじみのままだ。 …恋愛対象として 見られた事がない。 だから正直、焦っている。 高校に入って、イケメンが嫌いなくせに 綺麗な顔立ちをしている世鈴は、 周りから見ても やっぱり可愛く人気があり、 学校一の "高嶺の花" として 有名になった。 自分の顔に自信がある男達は、世鈴の事をよく知らないくせに告白をして、 あっさりとフラれ続けている。 逆に、イケメンでもない普通の男達は高嶺の花に対して臆病で、 遠くから見ているのみ だと聞いた。 ・・・もし、そいつらが 勇気を持って告白をしたら。 彼氏が欲しい世鈴は、 その告白に頷くかもしれない。  
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