第1章 * 告白の罠

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 そうなる前に、俺は 世鈴を振り向かせたい。 結構 脆いのに強気で、 考えなしに行動して、 けど決めた事は必ずやり通す… 少し変わっている彼女を、 好きになったから。 ――だけど。 俺は一度だけ、 友達に言われた事がある。 『お前、格好いい顔してんだからモテるだろ?』 その時は冗談だと思って 笑いながら首を横に振った。 けれど、告白はされていた。 よく知りもしない 隣のクラスの女子や、 初対面の先輩や後輩。 世鈴には黙っていたけど、 一度だけ告白の場を 見られた事があった。 世鈴は興味なさそうに スルーしていたけど、 俺にとっては辛い事だった。 世鈴は " モテない男子 " である事だけを求めている。 自分の父のように 浮気をしないように。 だから、モテてはいけない。 ・・・複雑な心境だが。  
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