第1章 * 告白の罠

7/21
前へ
/103ページ
次へ
――そして焦りを感じた俺は 前に一度、世鈴に告白をしようとした事があった。 いつもと変わらない帰り道で、前触れもなく急に切り出した。 『…俺さ、ずっと前から 好きな子がいるんだ。』 その言葉に、 世鈴は目を丸くして驚く。 だけど、その表情は残酷にも 笑顔へ変わっていった。 『へぇ、そうなの! 誰?…同じクラスの子?』 明るく、子供のように 楽しそうに はしゃぐ彼女は、 ただ俺に絶対的な返事を下す。 ――世鈴が好きなんだ。 そう言う事が出来なかった。  
/103ページ

最初のコメントを投稿しよう!

172人が本棚に入れています
本棚に追加