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――そして焦りを感じた俺は
前に一度、世鈴に告白をしようとした事があった。
いつもと変わらない帰り道で、前触れもなく急に切り出した。
『…俺さ、ずっと前から
好きな子がいるんだ。』
その言葉に、
世鈴は目を丸くして驚く。
だけど、その表情は残酷にも
笑顔へ変わっていった。
『へぇ、そうなの!
誰?…同じクラスの子?』
明るく、子供のように
楽しそうに はしゃぐ彼女は、
ただ俺に絶対的な返事を下す。
――世鈴が好きなんだ。
そう言う事が出来なかった。
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