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女性の悲鳴。
すぐさま反応する。
「チュチュ! 大変でチュ!急ぐでチュ!」
何故か正義の味方気取りの人形なんて放っておいて、男は声の方へ急ぐ。
目標を視認できる位置まで来ると男は立ち止まる。
少女が獣に襲われていたのだ。
「野犬……? いや、狼か。いや、何故日本に狼が?」
疑問が口をつく。
狼なんて、いる筈がない。日本に居る狼は絶滅したはず。
眉をひそめて考えている間にも、狼の群れは少女を追い詰めていく。
「考えている暇はないでチュよ! 急いで助けないと!」
耳元で小うるさい人形だ。
普通なら助ける義理も理由も無いが、現状では助けて話を聞いた方が早いだろう。
男は小銃を構えると、サイトを覗いて目標を定める。
そうして引き金を絞る!
響き渡る銃声。銃口から放たれた弾丸は音速を超え、狼に直撃する。
銃声に驚いた狼たちは、すぐさまその場から離れようとする。
だが、男の射撃の腕から逃れられる訳がない。
次々に銃弾を撃ち込まれ倒れていく。
最後の一匹は銃弾をおごってやる。五発の銃弾をぶち込んでやった。
ストレスがたまっているのだろう。急な環境の変化に鬱陶しい人形の出現が彼には堪えたのだ。
「流石だねぇ。全弾命中とか……凄すぎる」
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