何処の誰ともわからぬ者、何処と分からぬ場所

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人形が凄いのはわかるのだが、何故そこから自分が凄いという事になるのだろうか。 「だって、信和さんはこんな人形を作っているじゃないですか!」 「……こいつは貰いものだ。それに何故か勝手に動き出したんだ」 「はぁ……そうだったんですか……」 まじまじともう一度人形を見る菖蒲。 人形は照れた風に頭を掻きながら笑っている。 この菖蒲と言う少女、中々の美少女だ。どうやらこのチュチュと言う人形は、美少女に見つめられるのが照れくさいのだろうか。 人形の癖に、変な感情を持ち合わせているものだ。 「とりあえず、だ。町まで、道案内をして貰いたいのだが」 信和は菖蒲に対して、頼んでみる。 「町……? ああ、人里の事ですね。もしかして迷子になっていました?」 「いやー恥ずかしながら」 菖蒲が悪戯っぽく尋ねると、快活に笑いながらチュチュが勝手に答えた。 迷っている事は事実だが。 「ああ、少し道を間違えてしまったらしくてね」 横目で人形を睨みつける信和。 まさか、起きたら此処が何処だかわからない、なんて言える訳も無い。 「分かりました。では、私が案内します!」 何故か気合いを入れて、菖蒲はそう言う。 何故、こんなに嬉しそうなのかよく分からない信和だが、チュチュは気付いていたらしい。
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