20人が本棚に入れています
本棚に追加
人形が凄いのはわかるのだが、何故そこから自分が凄いという事になるのだろうか。
「だって、信和さんはこんな人形を作っているじゃないですか!」
「……こいつは貰いものだ。それに何故か勝手に動き出したんだ」
「はぁ……そうだったんですか……」
まじまじともう一度人形を見る菖蒲。
人形は照れた風に頭を掻きながら笑っている。
この菖蒲と言う少女、中々の美少女だ。どうやらこのチュチュと言う人形は、美少女に見つめられるのが照れくさいのだろうか。
人形の癖に、変な感情を持ち合わせているものだ。
「とりあえず、だ。町まで、道案内をして貰いたいのだが」
信和は菖蒲に対して、頼んでみる。
「町……? ああ、人里の事ですね。もしかして迷子になっていました?」
「いやー恥ずかしながら」
菖蒲が悪戯っぽく尋ねると、快活に笑いながらチュチュが勝手に答えた。
迷っている事は事実だが。
「ああ、少し道を間違えてしまったらしくてね」
横目で人形を睨みつける信和。
まさか、起きたら此処が何処だかわからない、なんて言える訳も無い。
「分かりました。では、私が案内します!」
何故か気合いを入れて、菖蒲はそう言う。
何故、こんなに嬉しそうなのかよく分からない信和だが、チュチュは気付いていたらしい。
最初のコメントを投稿しよう!