何処の誰ともわからぬ者、何処と分からぬ場所

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小さく笑いながら、二人の後ろをちょこちょこと歩いて行く。 先程の発言からすると、どうやら男のようだ。 一人称が私である男はいる事にはいるのだが、こいつの場合、喋り方や声からして女のように思えるから最悪だ。 しかし、魔力で動いているとは言っても、一体その魔力は何処から得られたのだろうか。 元々持っていた? つまり製作者である、あのオタク野郎がこいつに魔力を最初から注ぎ込んでいた、という事になる。 ……だとしたら、あいつは魔法を知っていたのか? いや、他にも条件はあるだろう。 そうでなくとも、色々な事が考えられる。 だが、最も高い確率は、やはりあの裕也が関わっていた事だろう。 「おい、人形」 「チュチュっていたじゃないでチュか」 「知らん。貴様は何故、動いている。動力源と言った、魔力なんて、俺は知らないぞ」 「チュチュ、別に知らなくてもいいのでチュよ。これから覚えていく事なのですから」 「なら、何処で魔力を入れて貰った」 「それは秘密でチュ」 「乃木本裕也にか」 「チュチュチュ……まさか、そこまで発想が進んでいるとは思わなかったのでチュよ」 「ではやはり、魔力を注ぎ込んだのは」 「間違いないでチュ。私の製作者である、乃木本裕也でチュ。尤も今は……」 「乃木湊谷……、だったか?」 「そうでチュよ。私が渡された時もその名前だった筈でチュが」 そうだった。別に名前なんて変わらない。どうだっていい事。 あいつも俺も人殺しであるという事に違いは無いのだから。
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