何処の誰ともわからぬ者、何処と分からぬ場所

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「自然現象で生命が生まれてたまるか」 「ものには魂が宿る。それと一緒のことでチュよ」 「ものはものだ。道具以外の何物でもない」 そう吐き捨てる信和。 彼の常識からすれば異常な事だ。妖精だの、魂だの、自然現象だの。 道具なんて使い捨て。特に銃弾を使っていれば否が応でもその理屈は分かる。 わざわざ弾丸をリロードして使おうとは思わない。 それをするのだとすれば、狙撃銃くらいだ。パウダーの配合によって微妙に変わるのだ。 「お前さんは銃ばかり使っているでチュからねぇ」 それとどう関係があるんだ、といいたかったがこれ以上は面倒なだけだ。 「とりあえず、私の家にまでご案内します。ちゃんとしたお礼もしたいですし」 礼などいらない、といいたい所だがここで分かれるよりも一緒にいたほうが何かと行動し易いだろう。 古めかしい建築物がある里を、奇妙な三人組は歩いて行った。 人里に入り、歩くこと数分。 ここの住民達はやはり何処かおかしい。時代錯誤ではないのか? いや、中には和服に混ざって洋服のような衣装を纏った人物もいたことにはいたのだが。 それにこの人形をみて、何の反応も示さない辺りが信和からしてみれば、あまりに歪。 「ここが私の家です!」 一つの質素な家の前に立つと、菖蒲はそういう。 やはり、この家も日本建築だった。 古い平屋建て。小さな家だった。 「汚い所ですが、どうぞ」 彼女はそういうと、自分の家の扉を開ける。 チュチュはきちんと「お邪魔しまーす」と言って入ったが、信和は無言であった。 彼にとって家なんて忍び込む程度のものでしか過ぎない。 最後に菖蒲が「ただいま」と言って家に入り、戸を閉める。
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