常識と非常識の世界

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とある一日。 何時もの通り、人を殺して金を奪い、社へと帰った。 本当にいつもと変わらない。 全く変わりやしない。 血と火薬のにおいだけが染み付いた体を、洗い流すことなく男は兵器の手入れをして床につく。 そもそもお風呂なんて無いのだ。 寝袋に入るとゆっくりと目を閉じて力を蓄える事に専念するのであった。 時間なんてわからない。夜という事以外は。 この間に何が起こったなんて誰もわかる訳がないのだ。 勿論、本人にも。 だって、見ていないのならその箱の中は密室と同じ事。 箱の中の猫は一体どうやって、箱ごといなくなってしまったんだろうか。 誰かが持ち去ったのだろうか。 それとも最初からそこになかったのだろうか。 知る人はいない。 朝、洩れる日差しによって目を覚ました男はおきあがると、体を動かした。 簡単なストレッチだ。 身体を慣らしいておかないと、どうにも落ち着かない。 そこで気付いた。 空気がほんの少しだけ違うという事に。 普段の空気は一般で言うところの澄んだ空気。誰も来ないような森の中にあったのだから、少しは空気が浄化されているのだ。 だがしかし、今彼が感じている空気は普段のそれよりもずっと澄んでいて綺麗な空気だ。 排気ガスなんて一切無縁な、そんな空気。 木を使って燃やしている風も、余り感じられない。 不思議におもった男はふと外を覗く。 彼の目の前に広がっていたのは、深緑の世界。
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