常識と非常識の世界

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自分の目を疑った。 そんな馬鹿な話があっていい訳がない。 拳銃弾を見えない壁で弾くなんて、そんなフィクションじみた事があっていい訳がない。 驚きのあまり言葉を失う男。 「言った筈だよ。私に無駄弾使うなんてもったいないって」 正直なところ、一度に弾けるのは一発だけだけど、と無言で付け足しておく。 だが、男は諦めない。 今度はナイフを抜いた。 「チュチュチュ! まだやるか! 私には敵意がないと言っているのに!」 「なら答えろ。俺の質問に」 空になった銃を捨てて、新しい銃を取り出す。 「チュッ……! 分かったでチュ! 言う! いいますから! とっととそのS&Wを下ろすでチュ!」 人形がそう言うと、男は素直に下げた。 「まったく……最初からそうしていればよかった物を……」 小声で愚痴る人形。 「何か言ったか?」その言葉に反応して拳銃を向ける。 「なんでも無いでチュ! だから早く聞けばいいのです!」 「なら聞こう。お前は何故動いている?」 慌てて首を振る人形に対して、そう質問をする男。 「さぁ? それは私にもわからないでチュ」 「次だ。お前は何で動いている?」 「何と、聞かれてもねぇ……」 「答えろ」 「魔力としか言いようがないでチュ」 「魔力? そんなファンタジーなこと、信じると思うか?」 「信じるも信じないも、目の前で見たじゃないか。銃弾がはじかれるのを」 「あれも、魔力で?」 「そうでチュ。魔力とは肉体や魔法陣、言葉等を介して使用される万能エネルギーの事でチュ」 「それで、お前も動いていると?」 「そうでチュ。私は魔力によって動いているのでチュよ」 「だったら、何故今まで動かなかった」 「魔力が使用できない場所に居たからだと思うのでチュよ」
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