炬燵をのぞく

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一年前の早朝、電話がなった。この歳になると早朝の電話は胸が高鳴る。 携帯の画面を見れば母からである。 「朝早くにごめんね。ペックが死んでしまったよ」 ずいぶんと疲れたような声だった。 1週間前に調子が悪くて動かなくなったと連絡はもらっていた。 だから、週末に顔を見に行こうとしていた矢先だった。 「ずいぶん急だったね」 「うん、もう痛がってね。お父さんとお母さんとで交代で身体をさすってあげてたんだよ。最後はお母さんの膝の上でさすられながら、ニャッて鳴いて息を引き取ったよ」
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