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それからは、お酒を作ったりしながら話しをしていた。
会話は尽きないもので、柩さんは中々の博識で沢山の話題に、深い知識を持っていて話しをしていてとても楽しい。
それだけではないのだ。
いつも殆んど聞き役の自分がいつの間にか気付いたら話し手に回っている。
質問しても軽く答えるだけで、直ぐ様自分に振り話しがすり替えられてしまう。
会話の途中、
和「…柩さんは困るなぁ…‥」
和沙はこんな事を言った。それを不思議そうな顔で柩が見つめる。
楓「どうして…?
何が困るんだい?」
和「だって、気付いたら自分ばっかり話していますし…。
柩さんは話し上手で困ります。」
少し困った顔をして笑って見せれば、柩が口を開く。
楓「そんな事ないよ?
和沙君の話しが楽しいからもっと色々な事を聞きたいと思うんだ。
……和沙君、せっかくだから、
一緒に飲んでくれないか?帰りはしっかりタクシーで送るから、飲むのに付き合って欲しい。」
そんな縋るような顔でお願いされれば、とても断りづらい。
それに、タクシーで送ってくれると言うし、そこまで言われたら付き合うのが礼儀だ。
こちらこそせっかくだし、お付き合いさせて頂こう!
そう思い、
和「分かりました。少しだけなら…!」
柩の申し出を承諾した。
今思えば、何故この時断らなかったのだろうと、これ程後悔した時はない-…。
私の中に少なからず警戒心が残っていたなら、こんな事にはならなかっただろうに。
無防備にも程があった-…
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