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ここでは女を捨てて、私は“和沙君”になる。
まぁ、大学でも君付けで呼ばれてるし、王子なんて呼び名もついているけど…。
ホールに入りスタッフに挨拶してから仕事を始める。ホールも担当するけど、私の持ち場は“バーカウンターの奥”だ。
オーダーを受けてシェーカーを手際良く振り、シェイクしたお酒をグラスに注ぐ。
スマートに、手際良く、早く作ってみせる。
シェーカーを持たせてもらうまでの道のりは長かった。
まずはスタンダードなものでも100種類以上あるカクテルのレシピを覚えなくてはならない。
かなり勉強はしたし、練習もした。けど、私自身お酒は好きだし作る事をしてみたかった。
だから勉強して練習して、この下積み期間は苦痛ではなかった、寧ろ楽しかった。
それに、お酒を作る事だけが大切なのではないと学んだ。接客もかなり重要とされるのだ。
幅広い職業に年層のお客様を相手にする為、政治・芸能・スポーツ等様々な旬の情報を集めておかないといけない。
けど、人と話す事は好きだしこの仕事は人脈が広がるから、やっぱり楽しい。
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