終わりと思ったら始まりで

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兄貴のはブラック。 俺はいつもならミルクや砂糖をたっぷり入れたカフェオレを飲むが、ふと入れるのを止めた。 いつまでもガキみたいにしてられねぇよな。 ブラックコーヒー=大人だなんて思考はガキのまんまだが、俺にとっちゃあひとつのけじめみたいな物だ。 ブラックコーヒーを2つ、テーブルへ並べた所で兄貴がリビングへ走り込んできた。 「あ、暁!悪いがコーヒーを…」 「もう淹れた。さっさと食っちまえよ」 「すまん!ありがとな!」 もたくさとネクタイを締める兄貴の前に、昨日買っておいたサンドイッチを置く。 親父達が死んでからというもの、食欲がなかったせいもあるがずっとコンビニ弁当かパンの生活をしている。 兄貴が若干曲がりながらも締められたらネクタイを留めて、律儀に手を合わせていただきますをしてから勢いよくパンにがっつく。 俺はというと、コーヒーが入ったカップを手で弄んでいるだけだ。
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