終わりと思ったら始まりで

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「・・・・明るくなってきたなぁ」 東の空が白みはじめ、段々と周りが明るくなる。 結局、昨日は何処に行く気力もなくベンチに座って一晩過ごしちまった。 普通なら、寒さに耐え切れなくなってどこかに移動しようとかいう気になるんだろうな? だが、昨日から不思議な現象が続いている俺だ。 あれから再び不思議現象が起こり、今尚俺の周りだけ異様な光景となっている。 「・・・」 "なぉーん" 無言で見つめる先には、暢気に欠伸をかく猫。 いや、性格には猫"達"だな。 俺はそんなに動物に好かれるタイプの人間じゃ無い筈なんだ。 だが、今俺の周りにはゆうに20を超える猫の群れ。 猫・猫・猫。時々犬。 種類も様々な猫、そして何処から脱走してきたのか首輪付きの犬まで俺にぴったりと寄り添ってる。 俺の首にマフラーよろしくまきついて寝ているヤツ、ジャケットの中にもぐり込んでぬくぬくしているやつ、足の上には数匹の猫が色々はみ出しながら丸まって寝てやがる。 早朝ランニングやら新聞配達の人が通る度にギョッとし、危ないヤツ。近寄らん方がいい、と、白い目を向けられそそくさ逃げていくのが心に痛い。 だが、こいつらのお陰で凍え死ぬという事態にならずに済んだ。 動物を飼ったことないから知らなかったが、結構暖かいもんなんだな・・・。 「って、ちげーだろうが!!」 勢いよく立ち上がると俺の周りにいた動物達が一斉に逃げていく。 感傷に浸っちまってたのか、寒さのせいなのか異常な光景を受け入れちまってた自分に愕然とする。 「絶対おかしいだろこんなの」 イライラして頭をガシガシかくと、ジャケットの中から逃げ遅れた猫がボトっと落ちた。 "あぉーん" 不満げな視線を向けられ、抗議するかのようように一声鳴いて最後の1匹も朝もやの中へと消えていく。 その姿を見送ると一気に脱力感に襲われた。 「はぁ~・・・。本当に何やってんだ俺は」 犬猫に囲まれて呆けている暇なんてない。 こうしている間にも時間はただ流れていく。 俺が今やるべきことは、動物達と戯れていることじゃねー!!仕事を見つけて、兄貴から自立するこった。 "パンッ!" 頬を叩いて自分に活を入れる。 こんな所でいつまでもウジウジしてたってしょうがねーからな! 前進あるのみだ。 しかし・・・
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