終わりと思ったら始まりで

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・・・悔しいよな。 こんな事言われちゃ、何も言えなくなっちまうじゃねぇか。 黙ったままの俺を、兄貴はそっと抱き寄せた。 泣いてる子供をあやすように、よしよしと撫でる手が心地いいと感じる。 「・・・馬鹿兄貴の癖に生意気なこと言うなよ」 「だから、馬鹿馬鹿言うなよー。」 「兄貴が馬鹿な事ばっかりやってると、俺笑う暇なんてないんだからな。ちゃんとしてくれよな」 「お手柔らかに頼むわ」 はははーと笑う兄貴の声を聞いて、目頭が熱くなる。 親父達はもういないけど、俺にはまだ兄貴がいる。 頼りねーし、馬鹿だしどうしようもねー兄貴だけど・・・な。 「・・・・"ボソッ"」 「ん?何か言ったか?」 「・・・なんでもねーよ」
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