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ブツブツ言う兄貴を後目に、熱いシャワーを浴びて凍えきった体でも温めるか。
そう思い風呂場へ行こうとした瞬間、視界が歪み思わず壁に手をついた。
「・・・なんだ?今の」
壁によりかかるようにしても、足に力が入らず思わずへたり込みそうになる。
なんだ?一体何が起こってる?
「あに・・・」
「あきらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
思わず兄貴に助けを乞おうと呼びかけるが、先に俺の名前を大絶叫されちまった。
ただでさえグラグラ揺らぐ視界が、この近距離大絶叫によって更に悪化する。
「暁!お前…お前…ひょっとして今さっき帰ってきたところ、か?」
がしぃっと俺の両肩を掴み、鼻と鼻がくっつきそうなほどの至近距離で兄貴は俺に詰め寄った。
てか近い…そして鼻息荒すぎるし目が血走ってるぞ。
「あ、ああ…夕べは公園で一晩明かして…って、それより兄貴、俺なんか」
「公園で一晩過ごしただとぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!??????」
追撃の絶叫。
「暁!夜の公園なんて、悪の巣窟なんだぞ!変態さんや不良達まで集まるワルホイホイ。それが夜の公園だ!それをお前、うら若いお前なんかが一晩過ごしただなんて…もしお前の寝ている間に、その可愛らしい寝顔を写真にとられたり、あまつさえそれを売られたりインターネットに流出させられたり…。いやいや、それより何より寝ている暁にもし悪戯なんてされてたら兄ちゃんは――――――!!!!!!」
がっくんがっくんと、号泣しながら俺の肩を揺さぶってくる兄貴に、もはや俺声は届かない。
「兄貴…それ以上はもう…」
がっくん攻撃&大絶叫で俺の意識は完全にブラックアウトした。
遠くで兄貴が俺の名前を連呼していたような気がするが、夢なのか現実なのかさえもう分かんねぇ。
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