終わりと思ったら始まりで

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家中のドアというドアを全て開け放して、部屋の隅々まで調べつくす。 クローゼットの中、机の下、窓から侵入したのかと思いそれらも調べるが誰かがこの家にいた痕跡は見当たらない。 「おい、暁。一体どうしたんだよ?」 「誰かがこの家にいるんだよ!!」 苛々した口調で兄貴に怒鳴りつける。 誰だか分からないが、ふざけやがって!! 人の家に勝手に上り込んだあげく、料理までして、更にその料理の味付けがお袋そっくりっていうのがとにかく悪趣味すぎる!! どこの誰だか知らんが、見つけたらただじゃおかないぞ!! …だが、どこを探しても侵入者の姿形も、痕跡さえも見当たらない。 「他に見てないのは…」 体をそちらへ向けると、自然に握った拳に力が入った。 後見ていないのは、死んでから一度も足を踏み入れていない親父とお袋の部屋だけだったからだ。
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