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そこは、俺にとって一種の禁止領域だ。
主のいない部屋は、親父達が死んだことを無言で俺に見せつけられそうで…。
そんな気がして、意識しないようにしていた場所だった。
「暁…誰かが入ったってなんかの間違いじゃないか?もし、誰かが入ったとしたら危ないから兄ちゃんが行くし!お前は警察よんで…」
「うるせぇ!!後はここだけなんだよ!」
オロオロする兄貴を制して、ゆっくりドアノブに手をかける。
部屋の中からは、今でも親父とお袋の談笑が聞こえてくるような気がする。
…ていうか、本当に聞こえる気がする。
「なぁ、暁。なんか、中に誰かいないか?話し声が聞こえる気が…」
どうやら俺だけの幻聴じゃないらしい。
いよいよこんなふざけた事をした犯人と対面だ。
ゴクリと唾を飲み込んで、ノブをゆっくりと下へ下げる。
カチャリと音を立て、ドアの隙間からそうっと中を覗き込むとそこには…。
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