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“ガッ!!”
俺の放った蹴りは見事に決まり、兄貴は頭から仏壇につっこむ形になる。
「あ、暁ー!!おまえって奴は兄を足蹴にするとはどうゆうことだ!」
兄貴がワナワナと怒りに震えながら、勢いよくこちらに向き直る。
微かに涙目になってるし、鼻の頭が赤くなっているところを見るといい具合に仏具が鼻にヒットしたらしい。
「うるせーんだよバカ兄貴!朝っぱらから長ぇうえに意味不明なことブツブツ言ってる方が悪いんだよ!」
腕を組み、兄貴を見下ろす形で言うと更に顔を真っ赤にして説教が始まった。
「バ、バカ!?暁、お兄ちゃんに向かってなんだその口のききかたは!」
「バカにバカって言ってなにが悪いんだよバカ兄貴」
「んなっ!?暁、ちょっとそこに座りなさい!目上に対する正しい言葉遣いについて教えることがあるっっ!」
兄貴は仏壇の前で正座すると、俺にも座るよう促す。けど、朝っぱらから説教なんて聞く気はない。
俺は踵をかえし、キッチンへと向かう。
「そんな糞の役にも立たない事に費やす時間なんて、俺にはないんでね。兄貴も、とっととメシ食って仕事いかねーと遅刻すんじゃねーの?」
「くっ…!!年頃の子がそんな言葉を使わない!●と伏せ字を使いなさい!そしてメシじゃなくて朝ご飯だろ!言葉の乱れは心の乱れと言ってなぁ…って、こんな時間んんん!?会社っ!でも暁がっ!とりあえず待て!落ち着くんだ!!深呼吸ヒーハー!」
まず兄貴が落ち着け。そしてそれは深呼吸じゃなくて、黒マヨネタだ。
とは言わず、背中で兄貴の普段通りのボケを聞き流しながらリビングのドアへ手をかける。
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