3.

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  彼女は玄関まで見送ってくれたが、それ以上は出られないようだった。 ドアの向こうに一歩踏み出すと、そこは『正しい傾斜』の世界。 今の今まで傾いたところにいたから、少しだけふらついてしまったが、すぐに立ち直る。 きっと彼女にばれてはいないだろう。 門を出てから携帯を見ると、着信履歴がサークルの同級生のものでびっちり埋まっていた。 サイレントマナーにしておいてよかった。 「あー、もしもしー?」 『森ぃぃい! やっと出た! 無事か? 無事なんだな!?』 「おめーらの中で俺はどんな危機に陥ってたんだよ……家の人と話すって言っただろーが」 勝手に妄想を広げて着信履歴を埋めてくれやがった友人を鼻で笑う。 俺だって、あの家に入る前はどんな変人が住んでるのかと思ったよ。 でも、蓋を開けてみればそこには健気な美女がいるだけだったんだから。 それを説明したが、大笑いされる。 『あっはははは! 騙されない、騙されないぞぉ! そう言って俺達のことも同じ目に遭わせるつもりなんだな! その手にはひっかからない!』 そんなに危機に陥りたいのか。 とりあず全部デンジャラスな方向に持っていきたいのがこいつらの性分だとは分かっていたし俺もそうだったが、今回ばかりは真面目に考えたかった。  
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