3.

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  結局サークルの連中は誰ひとり信じてくれなかった。 もういい、これは俺と吉村さんだけの秘密だ。 そして一日空けた今日、俺は吉村家のインターホンを押している。 「こんにちはー。一昨日ぶりっすけど」 『あら……森さん? いらっしゃい。今開けます』 名前を言わずとも、インターホン越しでも、それでも俺の声だと分かってくれた。俺の名前も覚えていてくれた。 それがなんだかくすぐったい。 ごりごり、と何かが擦れるようなほんの少しだけ妙な音を立てて門が左右に開く。 躊躇いなく敷地の中に踏み込み、チョコレート色のドアを目指した。 俺がドア前に着くのとほぼ同時に、彼女がそれを開けてくれる。 前回来た時と全く同じタイミングだ。 今日の彼女は白いブラウスに落ち着いた色のロングスカート。 本当にちょっと古風で上品な服装がよく似合う。 「っへへ、来ちゃいました」 「大歓迎です」 まるで花が咲くようににこり、と笑う。 俺が来たくらいでこんなに喜んでくれるなら、何度だって来るさ。  
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