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それからまた、静かに紅茶を淹れてくれる。
俺はその仕草をずっと見ていた。
白くて細い指が、ティーポットの持ち手にかかるのとか。
蓋を軽く押さえてカップにつぐ所とか。
琥珀色の液体が音も立てずに白いカップを満たしてゆく、ただそれだけのことなのに。
彼女がやるとどうしてこんなにも美しいんだろうか。
「凄いなぁ……」
「えっ? 何がですか?」
思わず口をついて出てしまった。
きょとんとした彼女がこちらを見ている。
「いや、なんつーか、その……動きがいちいち綺麗だなと思って」
「そんな、こと」
さすがに今の発言はキザすぎた。
吉村さんも恥ずかしそうに顔を背けてしまった。
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