3.

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  それから、無言。 コーヒーとも緑茶とも違う、紅茶独特のすっきりとした香りが鼻を擽る。 やがて吉村さんは紅茶をつぎ終えて、俺に片方を渡しながら呟いた。 「私、昔からトロいですから。そのせいです、きっと」 「つまり丁寧ってことじゃないですか。長所でしょ」 どうしてこの人はいつも自分を卑下してしまうんだろう。 普通じゃないから? ずっと傾いていなければいけないから? 「……森さん、褒めるのお上手なんですね」 これは皮肉だろうか。 俯いた彼女の瞳は、なんとなく寂しげに見えた。 俺だって別に誰だって何だって褒め倒すわけじゃない。 「お世辞は嫌いですけどね」 「ふふ……」 そう言ったらやっと笑ってくれた。 「人の悪い所より、良い所を見つけるのが上手いほうがいいでしょ?」  
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