3.

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  「実はそれ……私の手作りなんです」 「え、これが? マジですか?」 てっきり市販品かと…… 驚いた俺を見て、彼女ははにかむように笑った。 「えへへ、人に振る舞うのは初めてです。お口に合うかちょっと心配でした」 「いやー、これお世辞抜きにかなり美味いですよ」 やっぱり手先が器用なんだろうか…… 味はもちろんのこと、形も綺麗だし、売れるレベルだと思った。 人に振る舞うのが初めて、というのが少し引っかかるが。 「ねえねえ吉村さん、お願いがあるんですが」 「は、はい? なんでしょう」 「俺の友達のアホが、まだこの屋敷の主人を疑ってるんです。これ食べさせれば絶対考え変わる」 イコール、持ち帰らせてくれ。 このクッキーは、あいつらが抱くところの偏屈親父のイメージとは似ても似つかないだろう。 美女、紅茶、手作りのクッキー。 ほら、これならすんなりいく。 しかし彼女は困ったような顔をして、申し訳なさそうにするばかりだった。  
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