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  『だぁー、っもー! 訴えられても知らないからな』 「別に知らない人の家のインターホンを押す事は犯罪じゃねーだろ。大げさな」 『理由が不純すぎんだよ! それで中から偏屈親父でも出てきてみろよ。数時間説教コース、間違いないね。どひゃー』 同じサークルの同級生と下らない電話をしながら、俺は一人でそのお屋敷に向かっている。 身近すぎるせいかみんな気味悪がって、一緒に来ようとはしなかった。 「今まで廃墟に泊まったり樹海の中の枯れ井戸探したりした仲だってのに、お前らも薄情だよな」 『だってー、もしそこでトラウマレベルの出来事が起きてみろよ。毎日のように近く通るんだぜ? 俺ら』 そういうことらしい。 そういうもんなのか? むしろ、こんな優良物件が身近にあることを喜ぶべきだと思うんだけどな。 去年からずーっと気になっていて、ついに突入する決心をしたというのに、みんなからしたらあの家の話題に触れないことは暗黙の了解だったらしい。 廃墟に泊まった時は壁がばちばち鳴ってたし、枯れ井戸のときだってカメラがぶっ壊れた。 それに比べたらあの屋敷なんて、ちょっと傾いてる以外は普通じゃないか。なにも怖くない。  
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