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「お前ら明日覚悟しろよ。あの屋敷の主人である美女の手造りクッキーを持ってきてやるから」
「毒は……毒見は任せたぞ森ィィ!」
次の日の都市伝説研究会部室。
同級生はみな、いまだに信じていない。
毒ってなんだよ。そこまでして吉村さんを悪者にしたいのか。
昨日の、張り切っていた彼女の姿が浮かぶ。
こうして誤解されたままネタにされ続けることが腹立たしい。
彼女を脅かし、外を見ることを恐れさせ、また内側に閉じ込めているのは、こいつらみたいな態度を取る人間のせいだ。
確かに異様な家だし、一歩も家から出ない彼女が不審がられてしまうのも仕方ない。
事情を知らない人からしたら不気味だし、実際俺もそうだと思っていた。
だけど、それが彼女を馬鹿にすることを正当化する理由にはならないだろう。
事情を知った俺がこうして説明しているのに、聞く耳を持たずに面白がって話すこいつらの鼻を明かしたかった。
「つーわけで俺もう行くから」
「おう、行ってこい。骨は拾ってやれないけどな!」
あぐらをかいたまま敬礼をかましてきたそいつの顔面には、膝蹴りをくれてやった。
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