4.

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  「こんにちはー」 「こんにちは。ちょうど焼けたところです」 吉村家に入るのは三度目なのに、もう慣れたものだった。 いつものようにインターホンを押して、門が勝手に開いて、彼女が出迎えてくれる。 玄関に一歩踏み入ればそこから既に傾いでいて、彼女の背中に続いていつもの部屋に通されて。 「ほんとだ、良い匂いがする」 「します? 私はずっといたから麻痺しちゃったかも」 そう言って笑いながら、彼女はまた奥に消えてゆく。 ほんのりと甘みを孕んだ、香ばしい匂い。 いつもの椅子に腰かけながら、この甘い匂いは何によるものだろうかと予想する。 なんだかフルーツっぽい感じがするな。 「今回はちょっとジャムを混ぜてみたんですよ。今はできたてでしんなりしてますけど、時間が経てばさくさくしてくるかと」 またいつものティーセットをお盆に載せて持ってきた。 盛られたクッキーはほんのりと色付いている。なるほど、これはブルーベリーのジャムだろうか。 「ブルーベリーと苺です。お友達の分はもう少し冷ましてから包みますね」 「ありがとうございます。あ、ほんとだ……こっちは赤っぽい」 「ええ、片方がお口に合わなかったらいけないかなと思いまして」 二種類あったのか。 俺の友達にまで気を使ってくれるなんて……改めてあいつらに一発ずつ膝蹴りをお見舞いしてくれてやりたくなった。  
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