13人が本棚に入れています
本棚に追加
/57ページ
彼女の淹れてくれた紅茶とともに、焼きたてのそれを口に運ぶ。
「んー、ブルーベリーの味がする」
「あはは、ジャムが入ってますからね」
まだ温かいそれは、確かに言われた通り柔らかかった。
焼きたてのクッキーなんて食べるのは初めてだけど、出来たてって柔らかいものなんだな。
「あの……森さん」
「へい?」
神妙な面持ちの吉村さんが口を開いた。
少しだけ不安げに瞳を揺らし、やがて思い切ったように尋ねてくる。
「森さんのお友達は、私の事をどういうふうに言っているんですか?」
カップを持ち上げかけた手が止まる。
正直に答えるべきなんだろうか。
それとも、繕うべきなんだろうか。
今までの問いは正直に答えてきたけれど、今回のこれはかなり具体的なものだ。
一瞬とも永遠ともわからない間、俺は足りない脳みそをフル回転させ、答えた。
最初のコメントを投稿しよう!