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「嘘だ、って言われました」
「……嘘?」
「家から出られない美女なんて出来すぎてる、本当はおっさんなんだろ? って」
重い空気にならないように、わざとおどけて言ってみせた。
しかし彼女は俯いてしまい、よく見ると肩が震えている。
「あ、あの……ほら。でもふざけた馬鹿ばっかですから気にしな……」
「びびびびじょだなんて私がそんなそんな」
まさかの美女否定だった。
「あとはこんな豪邸なのに女性一人、っていうのもそれだけで珍しいですから……信じられないのかもしれません。男の一人暮らしならなんとなくしっくりくるけど」
「そう、ですか……?」
おずおずと顔を上げてきたものの、怪訝そうな顔のままだ。
やっぱり実家が裕福なのかな。
育ちも良さそうだし、俺とは価値観が違うような気がする。
でも、ドレスのデザインの仕事をしているとも言ってたっけ……俺は全然知らないけど、ウェディング業界のカリスマ一家とかなのかもしれない。
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