4.

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  「さすがにおっさんがこんなクッキーは作らないでしょ。食わせればきっと信じますって」 「そうでしょうか……別に誤解されたままでも構わないんですけれど、信じてくれるなら嬉しいです」 それって構わなくないじゃん。 俺に気を使っているのかあいつらに気を使っているのかわからないけれど、吉村さんはもうすこし素直になっていいと思う。 「それで、なんですけどね? クッキーを包めるほど冷めるまでまだ時間がありますので」 「はい」 「今日はちょっと……暫く、居てもらってもいいでしょうか」 こんな美女に申し訳なさそうに上目遣いでお願いされて断る男が世界中のどこに居るのか知りたい。 それより……『居てほしい』とストレートに言われるのは初めてだ。 それが本当にクッキーが冷めるまで待っていてほしいから、という理由だけなのだったとしても嬉しい。 「吉村さんが構わないなら」 「ありがとうございますっ。あ、でも具合が悪くなったら出ていてくださっても構わないので……」 「平気ですよ。慣れましたし」 お手伝いさんが10分でギブアップするというこの家も、俺は不思議と平気だった。 前回や前々回は数十分お邪魔していたが、まったく気分は悪くならなかったし。  
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