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「実際に結婚式で着てるものの写真なんですけども……」
そう言って机の上に広げられたのは、大きめに印刷された写真が数枚。
どれも花嫁と花婿が寄り添って、幸せそうに笑っている。
「すごく、幸せそうじゃないですか」
純白の、幸せの象徴。
俺に詳しいことはわからないが、繊細な模様やらふわりと広がった裾やら、同じドレスでもそれぞれ個性があって面白い。
これらが全て彼女の手によるデザインなのか……ひとくちにウェディングドレスと言っても、こんなに幅が出せるものなんだなぁ。
「凄いですね。やっぱり才能がないとこういうのって駄目でしょ」
「どうなんでしょう? 私は、私の好きなものを組み合わせていってるだけなんです。たとえばほら、これとか」
そう言いながら彼女が指差したのは、花嫁の胸元。
細かい……刺繍だろうか? 花を組み合わせたような模様が見える。
「よく見えませんけど、私の好きな花をいくつかモチーフにしてデザインしたものなんですよ」
「花……か。ここの家の庭にもいろいろ咲いてますよね」
「はい。あんまり自分でお世話してあげられないんですけどね」
そう言いながら苦笑する。
外に出られないから、好きな花もなかなか近くで見られないのか……
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