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  「お、人が出てきた」 『どうせお手伝いさんってやつだろ。その人がその家に入ってから出るまで10分かからないらしいぞ』 確かに、ごく普通の主婦っぽい雰囲気を漂わせた中年女性だった。 噂によく聞くお手伝いさんの特徴と一致している。 そもそもあの家の主人は家から出ないらしいし。 「あの人が離れたらインターホンを押しに行く。電話切るぞー」 『はいはい。ご武運を』 通話を切り、おばさんが帰っていく背中を電柱の陰から見送る。 はたから見たら不審者極まりないだろうが、俺は健全な大学生だ。 ただちょっと好奇心旺盛なだけの。 ……よし、そろそろいいだろう。 少しだけ緊張しつつも、どでかい門の近くまで歩く。 表札には『吉村』。日本人なのか。 インターホンも普通のものだし、傾いているのと豪華なお屋敷であること以外は本当に普通の家だった。  
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