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「いいかおめーら心して味わえよ。俺が先に食ったとこは見てるんだから食えるよな? つべこべ言わずに食えよいいなわかったな食えよお前ら食え」
「怖えーよ森ィ……『食う』って単語何回出せば気が済むん?」
次の日の昼過ぎ、都市伝説研究会の部室にて。
テーブルの上に吉村さんのクッキーを広げて部員共に差し出した。
先に俺が食うところを見せて、昨日こいつらがほざいていた毒云々がありえないことは証明した。
いわゆるパーティ開き、ってやつか。
大き目の四角い紙で包まれていたため、広げやすくなっていた。
そのあたりの細かい気遣いがとても吉村さんらしい。
「見た目は普通だよなぁ。女の人っぽいなーってのは認めよう」
「でもたった一人であんな広いお屋敷ってのがどうしても怪しいよな」
そうぐだぐだ言いつつも、クッキーをつまんで口に運んでゆく。
俺だって昨日食べた時に美味しいと感じたんだ。きっと大丈夫。
「ん、うめぇ」
「ほんとだ」
そう言いながら、次々と手が伸びていく。
……よかった。
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