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  「……そうですか、良かった。うん。勿体ないですもん、吉村さんみたいな人がこの家の中だけに閉じこもるなんて」 「あはは……でも二年も引きこもりですからね。外はどうなってるんだろう」 吹っ切れたような笑顔で、吉村さんは笑った。 泣いた瞳で屈託のない笑顔を浮かべる彼女は間違いなく世界一可愛い女性だって、俺には思える。 ちょっとだけ自虐の混じった冗談を言うのも、おどけたような動作をしたって決して下品にならないのも、全部全部。 それから吉村さんは少しだけ言いづらそうにしながら、照れたように大きな瞳を揺らがせた。 「それで……私が外に出るのに、一緒に居てもらってもいいですか? 行き先は森さんが好きな所でも、なんでも……その、迷惑じゃなければ」 「……言いましたっけ? 俺の行く先なんて都市伝説の元ネタとか胡散臭いところばっかりですよ」 この上ないお誘いだけど、ちょっとだけからかってみる。 これは自惚れていいんだろうか? 彼女も俺に、好意的でいてくれてるんだって。 試すような真似かもしれないけど、ちょっとだけ冒険したかった。 照れたようにへらりと笑うと、彼女は少しだけ首を傾げて口を開く。 「それがきっかけで、うちに来たんでしたっけ。……是非、連れていってください。私を」  
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