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道の両脇に広がった庭には青々とした芝生が広がり、花壇には色とりどりの花が咲いていた。
上を向くと、いくつもの窓。
しかしそれらは全てカーテンで閉ざされている。
カーテンを開ければ、花壇も綺麗な庭もよく見えそうなのに……普段は閉めてるってだけなのかな。
今日はよく晴れているから、真っ白な壁が少し眩しい。
ほどなくして玄関につくと、ちょうどそのチョコレート色をしたドアが開けられる。
そこには、美女が居た。
艶のある黒髪は長く、胸元あたりまで伸びている。
シミひとつない真っ白な肌の、おそらく20代前半といったところの女性。
深窓の令嬢、なんて言葉がよく似合うような、儚げな雰囲気を纏ったひとだった。
「……こんにちは。どうぞ、上がってください」
「は、はい。お邪魔します……」
一歩踏み入れると、確かにそこから既に床がおかしかった。
傾いてる。
耳の奥がちょっとぐらつくような、不思議な感覚だ。
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