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とりあえずイスをひいて腰かけてみたものの、頭がふらーっと左側にいく。
えーっと、つまりそういうふうに傾いてるのか。
窓から外を見ようとしても、レースのカーテンがきっちり閉められているせいでよく見えない。
きっと家の中と外でちぐはぐな風景が広がって、おかしなことになってんだろうな。
部屋の中を見渡してみる。
傾いているせいか、部屋の中の調度品は大きめのものばかりだった。
小さいものだと滑っていったり転がっていったり落ちたりしてしまうだろう。
「お待たせ」
屋敷の主が、お盆にティーポットと、ティーカップとソーサーそれぞれ2つを載せて持ってくる。
その表情には、やっと薄い笑みが浮かんでいるのが見てとれた。
「近所から私はまるで妖怪のように言われているそうですが」
お盆をテーブルに置き、自身も座りながらなんでもないことのように言う。
「ま、噂になってはいますよ」
俺もそれに嘘はつかない。
彼女も外の評判を気にしているのかもしれないと思ったし、元々俺が『そういう目的』だと告げたのに入れてくれたような人だ。
話したって構わないだろう。
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