258人が本棚に入れています
本棚に追加
「私?いないいない。もうかれこれ2年は経つよ」
「嘘っ!梶先輩みたいな綺麗な人、絶対彼氏いると思ってました」
「そう?お世辞でも嬉しいよ」
彼女はお世辞じゃないです、と言ってくれたが、こんなアラサー女に綺麗だなんて言ってくれるのは彼女ぐらいだろうと思った。
歳を取るごとに自虐的になっているような気がする。
私には、24歳くらいから3年付き合っていた彼氏がいた。
結婚の話も出たが、相手の浮気が発覚し、あっさりとフラれてしまった。
きちんと婚約していたわけではなかったが、彼を当時本気で愛していたし、年齢が年齢だけに、かなりの打撃があった。
それ以来、なんとなく彼のことが頭から消えないでいる。
決してもう好きではないのだが、本当になんとなく、頭に残っているのだ。
今どうしてるかな、とか、結婚したのかな、とか、そんな些細なことを考えるだけ。
彼と別れて以来、私は恋をしていなかった。
好きになった人もいなければ、言い寄られることもなく、黙々と仕事に励んできてしまったのだった。
最初のコメントを投稿しよう!