何時しか夜は明ける

3/3
前へ
/53ページ
次へ
何処からか声がする… 「君に最も近い存在。いや、君に触れられない存在かな…。」 「どういう意味だ?……っ」 急に頭痛がしてきて、なんだか闇が浅くなっていく。いや、むしろ光に俺の身体が飲み込まれている様だ。 何処からか声がする… 「残念だけど、もう時間切れみたいだ。君は帰るんだよ…元の世界へ。」 少年の言葉の後、ますます光は強くなり、俺の体は飲み込まれていく。 激しい頭痛の中、俺は少年に尋ねる。 「ちょっと待って!じゃあ……ここ…は?……。」 頭痛が酷くなり、意識も遠くなっていく。 「また…会える?」 何処からか声がする… 「もちろん。来るべき時が来ればね。」 その声を最後に、俺は完全に光に飲み込まれ、意識を失った。 俺が最後に見たのは、綺麗な蒼い瞳だった…。 何処からか声がする… 「来るべき時なんて、本当は来ないほうが良いのだけれど…」 蒼い瞳の少年は、まるで吐き捨てる様に言ったのだった。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加