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「完、じゃないよ!」
にやにやしながら語り尽くしたゲンドウに、シンちゃんは怒鳴る。
「何を言う、完璧なシナリオだろ? ちゃんとチケットに消えたセーブデータまで用意したんだから」
「……お前を頼ったオレが馬鹿だった。始めからレイんとこ行っとけば良かった」
荷物を片付け始めたシンちゃんに、ゲンドウはキレる。
「やりもしないであきらめるとはな! やる気が無いのなら帰れ!」
「おじゃましました」
「帰っちゃだめだ! 帰っちゃだめだ! 帰っちゃだめだ!」
猛暑と緑色だらけの自然に囲まれ、アブラゼミの大合唱からツクツクボーシのフィナーレは続くなか、少年たちの試練は終わらない。
夏休みはもう終わりだが、宿題は真っ白だ。
負けるなゲンドウ!
頑張れゲンドウ!
学校が始まるその瞬間まで!
.了
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