始まりの福音

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始まりの福音

 猛暑と緑色だらけの自然に囲まれ、アブラゼミの大合唱からツクツクボーシのフィナーレに変わり早や一週間。  我らが主役は想像もつかない大舞台で、大いなる旅をしていた。  両手で掴まれる使い込まれたコントローラーで──。  そんな主役を現実に戻したのは乱雑な打音響く廊下から飛び込んできた試練を携えた一人の男子。  彼は荒い息で問う。 「夏、休みの……宿題。写させて」  彼の試練は今始まった。
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