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「…どこ行ったんだ?」
いつも遊びに来る花畑に、アイツの姿は見当たらなかった。
更に山の中を駆け抜ける。
泥が跳ねて着物を汚していく。
「…やっぱりここに居たか」
たどり着いたのは、尸街界を見渡す事のできる丘だった。
気付けばあんなに降っていた土砂降りの雨も止んでいる。
桃は太い木の枝に腰掛け一点の先を見詰めていた。
「おい桃。はやく帰るぞ。婆ちゃんも心配してる」
「…シロちゃん。そうだね、ごめんなさい」
ストン、と木の上から降りてきた桃はやはり雨でびしょ濡れだった。
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