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「風邪引くだろうが、馬鹿野郎」
軽く額を弾いて、冷たくなった手を引いて歩く帰り道。
雨で緩い地面が歩きづらい。
「ねぇ、シロちゃん。何で丘に居るってわかったの?」
「桃が行きそうな場所くらい、大体見当がつく」
本当は知っていた。
何かしら悩みがあると、桃はああやって丘を訪れることを。
「そっか。シロちゃん…よくあたしのことを見てるんだね!」
「なっ…ち、違ぇよ…っ」
にっこりと笑ってこっちを見る桃の言葉に赤くなりつつ慌てて否定しても、桃は笑うだけだった。
「ふふ、あたしを見付けてくれるのはシロちゃんだけだもんね」
「当たり前だろ、寝ションベン桃」
いつの間にか曇った空が晴れて、青白い月が小さな二つの影を見守っていた。
【かくれんぼ】
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