どうして俺が…

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どうして男という生き物は異性を目の前にするとこうも見栄を張りたがるのだろうか このままの状態が続けば、未曽有の胸の高鳴りが待ち構えていることなど容易に想像できるというのに… まあ理屈じゃないんだろう、それが男というものだ 俺は昔誰かから聞いた『男は女の前では単細胞生物』という言葉は正しいと改めて思った 「はふぅ、不思議です。虹河さんとこうして抱きしめあっているととても落ち着きます。」 柚葉は俺の言葉を聞くと、俺の体に回していた手でより強く俺の体を抱きしめた 確かに不思議だ、俺もこうやって柚葉と肌を触れ合わせていると、全身がとても落ち着くのが実感できる だからさっきも心の不安が一瞬で消えたんだろうな、まあ柚葉の言葉が心に響いたっていうのもあるけれど あれからどれくらい経っただろうか 俺たちは一言も語ることなくただ心の安らぎを得ながら抱きしめあっていた そしてこれはお決まりと化してきたのだが、いつの間にか柚葉は天使のようなお顔をしながら眠ってらっしゃる 俺の胸が心地良いのだとしたら嬉しいが、異性として認識されていないことの表れだとしたらそれはそれで悲しい うーん…複雑だ… ふと窓の外へと目を向けると赤蜻蛉が夕焼け空を舞っているのが見えた 秋の夜は冷えるからな、このままだと柚葉も風邪ひくかもしれないし完全に日が落ちる前には帰りたい しかし、柚葉を起こすのは気が引ける…しょうがない、おんぶして帰るとするか
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