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気がつくと、私は見知らぬ場所に居た。
そこには太陽が降り注ぎ、日中の外である事がすぐ様理解できた。
私はつい先刻まで日没寸前の城の中に居たのだ。
此処が城の中で無い事は明らかだった。
そう思いながら、私はふと思い出す。
(…まさか、"また"?…)
良く考えてみると、世界が溶け出して、私が別の場所に居ると言う事は度々あり、その度にマリアベルやラインハルトと思われる少年や少女に出会い、彼女らの過去を追体験した記憶がある。
つまり、今、この場所は誰かの記憶の中の何処かだと言う事は簡単に推察できた。
(…なら…此処は…)
大抵の街の位置や砦の位置などは覚えているが、小さな村の路地や町の詳しい道などは覚えられていない。
(えっと…)
取り合えず、此処が何処なのか自体を理解しなければ話にならない、と私は路地に置いていた身を通りへ向けたその時。
「生まれたぞ!」
一人の青年が路地の奥の家から出て、私の横を通り過ぎていった。
(…生まれた?)
つまりは誰かが生まれた瞬間に立ち会ったんだろうか?
まだその誰かが分かってもいないけれども、私はその青年が来た道を辿ってみる事にした。
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