プロローグ

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言い忘れていたが、俺の名前は柏崎 綾人(かしわざき あやと)。 三週間程前に高校二年生になったばかりだ。 「飯でも作るか…」 小さく呟いた俺は枕元に置いてあった黒縁の眼鏡を掛けると部屋を後にする。 ガチャッ リビングに入ると誰も居ないせいか、四月なのに肌寒さを感じる。 ふと、テーブルの上に飾られている写真が目に入った。 家族写真、俺が小学校五年生の時に撮った物でそこには俺以外に親父と母さんと妹が写っている。 「…………」 その写真を見て感傷的になりそうだが、別に事故で死んだとかじゃない。 理由は至極簡単だ、うちの両親は別居している。 親父の職業は刑事で家には滅多に帰ってこない、そんな親父に愛想が尽きたのか母さんが妹を連れて家を出たのが四年前。 以来、俺は父さんと一緒にこの4LDKのマンションに住んでいる。
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