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小林さんに遭遇する
ぼくと小林さんが遭遇してしまったのは中学3年の冬
もっといえば入試の前日
しんしんと、軽い淡雪が降る
そんな日だった
それは多分、ミシンと蝙蝠傘の出遭いに似てる
本来あってはいけないことが
偶発的に、しかしひどく因果的に噛み合い重なり空回りしはじめたからだ
それを小林さんとぼくは、徹底した無自覚で自覚していた
1+1がゼロになってしまうほど、ぼくたちは同一だった
むしろ始まりから、一貫とした一過たるように終わりから終わりきっていた
だからこの小さな物語も始まりすらしない
物語が流れてゆく海のほんの一滴でしかない
それでよければ、はじめよう
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