5人が本棚に入れています
本棚に追加
彼女の肩に積もる雪は、彼女自らがほどこした鎧のように見えた
しんしんと降る粉雪は、誰にでも平等に舞い落ちる
ぼくが小林さんを初めて見たとき、彼女は雪に埋もれていた
本州ではどうなのか知らないけど、ここでその状態にあることは文字通り自殺行為だ
この北の地に住む者にとっては雪は厄介者でしかなかったりする
本土の人達は雪に憧れたりするらしいけど、ぼくのような純正地元人はそんな気持ちをまったく理解できない
考えてもみてほしい
本来はごくごく小さな氷の粒でしかない雪
でも、固まりとなったそれは人や物を破壊可能な暴力を有する
毎年、必ずといっていいほど確実に数人は落雪とかで死んでしまう
そんな存在をどうして歓迎できるか?
答えは否だ
ぼくのおじいちゃんは屋根の雪落しをして、屋根から落ちた
その怪我、全治三ヶ月
ぼくだって中学のとき、下校途中に雪で滑って車に撥ねられた
つまり、だ
結論から言うと
ぼくは、雪が大嫌いだ
最初のコメントを投稿しよう!