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小菊の護衛からの文がくる前に、小菊の情報が新撰組の監察により手に入った。土方の部屋には監察の山崎と巡回報告にきた井上がいた。
「花野井小菊、十八歳、茶道と舞踊の助指南、父親は茶道の家元、母親は舞踊の名取です。姉は今年、亡くなってますが江戸の大呉服屋「伊勢家」に嫁いでましたね、この姉も茶道、舞踊の指南をしてどちらも有名です。かなりの名家ですね~。」
そこへ井上も口を挟む。
「花野井家は江戸ではかなりの名家…、私でも知ってるくらいだ、名前をシッカリ、聞かなかったのか…?」
土方は眉間に皺を寄せため息をつく。花野井家は土方も知っている名家だ、最初が悪いのだ。変装はしているし、怪しい人物に見えたのだから。
「その「お嬢さん」を女中にしてるのですか~?」
山崎が土方を見て笑い、井上はため息をついた。
「仕方ねぇ~だろ?まぁ~小菊も斉藤が戻るまで働くと言ったんだ、そのまま働かせるさ」
土方は思った。本当に総司が何もしなくて良かったと、何かあったら取り返しが着かなくなるところだった。
「じゃ~俺はその「お嬢さん」を見てきますねぇ~」
山崎は土方の部屋から音もなく消え、井上は苦笑いした。
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